労災事故の慰謝料の相場は?【弁護士による解説】
①入通院慰謝料、②後遺障害慰謝料、③死亡慰謝料の3つがあります。
労災事故について、会社に責任がある場合、被害者(またはご遺族)は会社に慰謝料を請求できます。
それぞれについて見ていきましょう。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、労災事故で負傷して入院や通院をしたことに対する慰謝料です。
慰謝料の相場は、入院期間、通院期間(通院回数)によって決まります。
慰謝料の金額はこの図で計算します(いわゆる「赤い本」に記載の裁判基準による慰謝料額です)。横軸が入院期間で縦軸が通院期間です。金額単位は万円です。
※捻挫・打撲などの軽傷の場合は別の基準になります(金額が下がります)。
※通院回数が多くない場合、実通院日数×3.5倍と通院期間とを比べて短い方を基準に計算します。例えば、通院期間が1年でも、実通院日数が35回の場合、35×3.5=122日なので、通院4か月のところを見ます。
会社の対応が悪い、ライフワークの釣りが事故のせいでできなくなった等を理由に慰謝料の増額ができないかというご相談を受けることもあります。
しかしながら、基本的に入通院慰謝料は、入院期間と通院期間(通院回数)のみで判断されます。なぜなら、ケガによって受ける精神的苦痛は人それぞれなので、それを数値化するということができないため客観的な指標である入院期間と通院期間(通院回数)を基に判断せざるを得ないからです。
ただし、会社の態度があまりにも悪質な場合等は、裁判をしたら慰謝料増額が認められる場合もありますし、認められるかはともかくこちらの思いをぶつけるという意味で増額された慰謝料を請求すること自体は可能ですので、詳しくは弁護士にご相談ください。
後遺障害慰謝料
労災事故で治療をしても残念ながら後遺障害が残った場合、労働基準監督署に障害補償給付請求(後遺障害認定請求)をすることによって、労働基準監督署が後遺障害の等級を決定します。
後遺障害慰謝料は、そうした後遺障害が残ったことに対する慰謝料のことで、入通院慰謝料とは別に請求できます。
後遺障害慰謝料の相場は、その障害等級によって決まります。
(障害等級) | (慰謝料額) |
第1級 | 2800万円 |
第2級 | 2370万円 |
第3級 | 1990万円 |
第4級 | 1670万円 |
第5級 | 1400万円 |
第6級 | 1180万円 |
第7級 | 1000万円 |
第8級 | 830万円 |
第9級 | 690万円 |
第10級 | 550万円 |
第11級 | 420万円 |
第12級 | 290万円 |
第13級 | 180万円 |
第14級 | 110万円 |
このように、後遺障害の等級が一つ変わるだけで後遺障害慰謝料額も大きく変わってきます。
適切な後遺障害の認定を受けるためには診断書に必要な事項を記載してもらう必要がありますので、診断書を作成される前の方は、一度、弁護士にご相談ください。
死亡慰謝料
労災事故によって残念ながら被災者がお亡くなりになった場合、ご遺族の方は、死亡慰謝料を請求できます。
死亡慰謝料の相場は、お亡くなりになった被災者の属性、年齢、家庭環境、生活環境などによって決定されますが、概ね、現在の裁判基準では以下の基準となっています。
・被災者が一家の支柱の場合・・・・・2800万円
・被災者が母親、配偶者の場合・・・・2500万円
・被災者がその他の場合・・・・・・・2000万円~2500万円
個別具体的な事情があれば、死亡慰謝料が増額する場合もあります。
また、近親者(特に被災者と同居されていた方)は、死亡慰謝料とは別に固有の近親者慰謝料として100万円から200万円程度が認められる場合もあります。
死亡慰謝料額の相場は、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の相場よりも判断が困難になっていますので、死亡慰謝料についてお困りの方は、是非、弁護士にご相談ください。
早めのご相談を
労災事故については、会社が責任を否定することがよくあります。
会社に責任(安全配慮義務違反)があるかどうかの判断は簡単ではありませんし、資料の収集も簡単ではありません。
また、損害の計算についても様々な項目があり、一般的に損害額の中で一番金額が大きい逸失利益(後遺障害が残って労働力が落ちて収入が減ることに対する補償)については、計算が多少複雑です。
そのため、労災事故についてお困りの方は早めに弁護士にご相談ください。
当事務所では、電話、メール、LINEでのご相談のご予約を受け付けております。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。